大人になれば知っておきたい保証人の話②
こんにちは、人生お役立ちブログの寺前です。
前回に引続き「保証人」のお話しをしていきます。
前回の話の中で、保証人にはいくつか種類があり混同すると危険だということをお伝え
しました。今回はそんな保証人の中でも特に混同しがちな『保証人』と『連帯保証人』
の違いについてのお話しです。
【事例図】
BさんはAさんから100万円を借り、CさんがBさんの保証人となった。
Aさん👤 ←――→ Bさん👤 ←――― Cさん👤
(100万貸した) (100万借りた) (Bの保証人)
Aさん👤 ←――→ Bさん👤 ←――― Cさん👤
(100万貸した) (100万借りた) (Bの保証人)
【保証人と連帯保証人】
通常の『保証人』も『連帯保証人』も
債務者(お金を借りている人、上記B)が
債権者(お金を貸している人、上記A)に
お金を返済することを保証するという内容に変わりありませんが、次の3つのポイント
が大きく違います。
【保証人と連帯保証人の違い①催告の抗弁権のあるなし】
【事例】
Aさん(債権者)がBさん(債務者)には返済の請求をせず、いきなりCさん(保証人)に「100
万払え」と請求した。
Aさん👤 ←――→ Bさん👤 ←――― Cさん👤
(100万貸した) (100万借りた) (Bの保証人)
A―――――――→B
(請求なし)
A――――――――――――――――――→C
(100万払って!)
《Cさんが通常の『保証人』の場合》
⇒Aに対し「お金を借りたのはBさんなのだからまずBさんに請求してよ!」と言え
る。=この時点での支払いを拒否できる
《Cさんが『連帯保証人』の場合》
⇒「まずBさんに請求してよ!」が言えず、請求されれば自分が支払わなければならな
い(拒否できない)。
・100万借りているのはBさんなので、感覚としては『Aさんは保証人のCさんより先に
お金を貸しているBさんに返済を請求すべき!』と思われるかもしれません。
通常の『保証人』であればその通りですが、『連帯保証人』にはこの考えは通じませ
ん。少し難しい言葉を使うと「催告の抗弁権」(まずBさんに請求してよ!と主張できる
権利)がないのが『連帯保証人』です。
【保証人と連帯保証人の違い②検索の抗弁権のあるなし】
【事例】
お金を借りたBさんはお金持ちで潤沢な資産があり100万の返済くらいなんの問題もな
お金を借りたBさんはお金持ちで潤沢な資産があり100万の返済くらいなんの問題もな
い。しかしお金を貸したAさんは、お金を借りたBさんが返済を拒んだことを理由に、
保証人であるCさんに「100万払え」と請求した。
資産家💲
Aさん👤 ←――→ Bさん👤 ←――― Cさん👤
(100万貸した) (100万借りた) (Bの保証人)
A―――――――→B
(返済請求するも拒否された)
A――――――――――――――――――→C
(Bが払わないからお金返して!)
《Cさんが通常の『保証人』の場合》
⇒Aに対し「お金を借りたBさんは、お金をたくさん持っているのだから、裁判でも
やってBさんからお金を返してもらってよ!」と言える。この時点での支払いを拒否で
きる。
《Cさんが『連帯保証人』の場合》
⇒Bさんがどれだけお金を持っていても、「Bさんからお金を返してもらってよ!」と言
えない=支払いを拒否できない。(このことを「検索の抗弁権」がないといいます)
・感覚的には『Bさんはお金が無いならともかく潤沢にある訳だから、なぜ保証人で
あるCさんが払わなければならないのか、お金を借りたのはBさんなのだから、裁判で
財産を差し押さえてでもBさんに支払わせるべきだ』と思われるかもしれませんが、
①と同じくこの考えも『連帯保証人』には通じません。そう主張する権利が連帯保証人
にはないのです。
【保証人と連帯保証人の違い③分別の利益】
【事例】
お金を借りたBさんには、Cさんの他にもDさんという保証人がいた。
Bさんが借りた100万円に対し、保証する人間が2人いるため、通常であればCさんとD
さんがそれぞれ50万ずつ保証すれば事たりる(分別の利益という)。
しかしAさんは、お金を借りたBさんが返済を拒否したことを理由にCさんにだけ100万
円全額を請求し、Dさんには全く請求しなかった。
Aさん👤 ←――→ Bさん👤 ←――― Cさん・Dさん👤👤
(100万貸した) (100万借りた) (Bの保証人)
A―――――――→B
(返済請求するも拒否された)
A――――――――――――――――――→C
(100万円払って!)
A―――――――――――――――――――――→D
(請求なし)
Aさん👤 ←――→ Bさん👤 ←――― Cさん・Dさん👤👤
(100万貸した) (100万借りた) (Bの保証人)
A―――――――→B
(返済請求するも拒否された)
A――――――――――――――――――→C
(100万円払って!)
A―――――――――――――――――――――→D
(請求なし)
《Cさんが通常の『保証人』の場合》
⇒Cさんは「Dさんも保証人なわけだから、100万÷2人で自分は50万分のみ支払えば
十分のはず!」と言える。
《Cさんが『連帯保証人』の場合》
⇒Cさんは「2人保証人がいるから50万だけ払う!」と言えず、請求された100万全額支
払わなければならない。
・保証人が何人いようが、Cさんが『連帯保証人』であった場合、請求されれば全額
自分が支払う必要があります。
【まとめ】
上記のCさん(保証人)の例のように、『連帯保証人』になってしまうと、
・Bさんが、お金を返済する気があろうが
・Bさんが、どれだけお金を持っていようが
・Cさん以外に、何人保証人いようが
お金を貸したAさん(債権者)は、実際にお金を貸したBさん(債務者)を飛び越して、連帯
保証人であるCさんに100万円全額のお金を請求することができます。
つまり、連帯保証人になるという事は、自分自身が借金する事とほぼ同じわけです。
「保証人」というと、どうしても「何かあった時の保証をする人」というイメージがあ
りますが、「連帯保証人は何事もなくても金銭の支払いを迫られるリスクがある人」で
す。
今後「連帯保証人になって欲しい」と言われる機会があるかもしれません。
受けるか受けないかは、あなた次第ですが、もし連帯保証人になる場合は「自分が借金
するのだ!」という認識で考えて頂けるとより正確な判断ができるかと思います。
『連帯保証人』=絶対だめ、という訳ではありませんが、十分ご検討ください。
このお話が少しでもお役に立てれば幸いです。
寺前